十千しゃなお 電子書籍 オススメ

電子書籍。その中でも素人さんの作品を紹介するサイト。だったはずが最近は全く紹介出来ていないサイト

2015年12月

年の瀬です。
十千しゃなおです。



出ました。四巻目。
前も言ったように、シリーズまとめ版も出しますが、ちょっと年内は難しそうです。そちらには握手会編という短編をつけますが、しばらくしたらブログにも掲載するので、その短編は無料で読むことが出来ます。まとめ版は投げ銭をしたい聖人様がお買い求めくださいな感じです。
また、これを機に他ストアでの販売を開始する予定なので、今回は無料キャンペーンを行うことが出来ません。まぁ、それはシリーズ一巻目と二巻目が恒常的無料なので許してください。

ちなみBookWalkerでの販売を考えているのですが、BookWalker用のファイルを作るのがどうしようもないほど面倒くさい為、BookWalkerでの販売は著しく遅れる予定です。
 

前回分にはこちらから。

『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』①
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』②
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』③
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』④
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』⑤
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』⑥
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?3』⑦


・ スペシャルウィークに向けて② 
 社長に見られているという環境に慣れたのか、少しずつ姉御の調子はいつものものに戻っていった。

『清恵さ、知ってた?』
『何でしょう?』
『再来週、スペシャルウィークなんだってさ』
『スペ……? ……ゴールデンウィークのお仲間ですか?』
『違う違う。確かにこの間シルバーウィークってのがあったけど。スペシャルウィークっていうのは、聴取率週間のこと』
『ああ、そのことですか。確かふた月に一回くらいやってますよね』
『そ。でね、再来週は開局してからちょうど四十年てことで、局を上げて大々的にやるんだってさ』

 あー、そういえばこの番組始まる前にもCMで流れてたような。開局四十周年が云々とか。豪華プレゼントや豪華ゲストが云々とか。うろ覚えだけど。

『番組同士で競い合わせて、順位によっては私たちにも景品が出るらしいんだけど、どうせやるなら一番目指したくない? 少なくとも、アニメとか声優関連のラジオの中では』
『悪くないですね。自分たちの限界を知るという意味でも、よい機会だと思います』
『でしょ? なら決まりだ』

 生来の負けず嫌いである姉御の提案を、咏ノ原さんが二つ返事で承諾する。何事においても、自分がどの程度出来るのか知りたがっている咏ノ原さんにとって、これはまたとない機会なのかもしれない。

『他の番組は色々企画やるらしんだけど、あたしらはどうする?』
『別に特別なことはしなくてもいいのでは?』
『普段からアニラジの中では聴取率一番だしね。でもさ、それで負けたらダサくない……? 慢心て感じでさ』
『負けないので問題ありません』

 いつも通り淡々とした発言だが、それが王者としての自信を感じさせる。番組が始まって最初の聴取率調査で一位になって以来、声春ラジオはアニメ関連のラジオの中でトップの聴取率を叩き出し続けていた。

『ほんと、強気だねあんたは。けど、自分たちの限界を知るっていうんなら、何かしらの企画をしてみた方がよくない?』
『……確かに一理ありますね。普段通りにやってどれくらいの方に聞いてもらえるかは、もう大体わかっているので』
『だろ? というわけで、今から企画考えるよ? 早めに告知しといた方が絶対いいしね』

 こうして、二人の企画会議垂れ流し放送が始まる。

『企画……。リスナーの方に考えてもらうのはいかがでしょうか?』
『メールで?』
『はい』
『んー……ありっちゃありだけど、やめた方がよくない?』
『何故です?』
『だってさ、この番組始まってからずっとコーナーの募集してるけど、未だにフリートークしかないじゃん』
『……? 募集してましたっけ?』
『ほら、もうそういうレベルじゃん』

 そう。姉御の言う通り、この番組ではリスナーからコーナーの募集をし続けていた。
 しかし、一リスナーとして言い訳をさせて欲しい。コーナーがいつまで経っても決まらないのは、姉御や咏ノ原さんの審査が厳し過ぎるという理由が大きいのだ。勿論リスナー側にも原因はあるんだけどさ……。

『リスナーに頼るのはやめるとして。……企画ねぇ……』
『企画……。……その日しか聞けない話をするというのは、いかがでしょうか?』
『その日しか聞けない話?』
『はい。やはり、普段聞いていない方にも聞いてもらうとなると、プレミア感を出した方がよいのではないかと』
『なるほどね。確かに』

 そう言って感心を示しつつ、姉御はその日しか聞けない話について頭を悩ませる。

『んー……じゃあさ、自分の中で二番目に衝撃的なことを話すってどう?』
『衝撃的な……?』
『衝撃的っていうか、何だろ、秘密っていうか……人が聞いたら驚くような自分のエピソードっていうか』
『二番目なんです?』
『そ。一番目はほら、やっぱり言えないでしょ。なかなか。だから、二番目』
『なるほど』

 咏ノ原さんは簡単に納得したみたいだが、果たしてそれでいいのだろうか。二番目も相当話しづらいような気がするのだけど……。

『……あ、でも、あれか。実際どれくらいすごい話なのか、わかんないのか当日まで。それはちょっとあれだね。あんまり引きとしては強くないか』

 言われてみればそうだ。いざ蓋を開けてみれば大した話ではないという可能性もなくはない。

『では、実際に今、話してみたらいかがでしょうか?』
『え? 今? 今二番目を話しちゃったら、再来週何話すの?』
『ですから、今日は四番目と三番目を話すんです。それなら、自ずと二番目の話がどれくらいのレベルなのか、リスナーの方たちも推し量ることが出来ますし』
『あー、なるほどね』

 姉御も咏ノ原さんの提案に簡単に納得してしまう。この二人には秘密を話すことの抵抗はないのだろうか……? 

『四番目と三番目……。清恵さ、試しに先言ってみて』
『私ですか? わかりました。では、四番目からいきますね』
『あれね? 結構大事だからね、これ』
『心得ています。四番目……いきますよ?』
『おう』
『私、咏ノ原清恵は、』
『清恵は?』
『現在、』
『現在?』

 僅かに溜を作り、咏ノ原さんが話してくれた四番目の秘密は、

『コンビニでアルバイトをしています』

 なんとも反応のしづらいものだった。

『え……? コンビニで……?』
『はい。アルバイトです』

 耳を疑うように尋ねる姉御に、咏ノ原さんは淡々と答える。

『……いや、アルバイトしてる声優の子は別に珍しくもないけどさ。でもさ、清恵はさ、売れてる方じゃんだって』
『売れている方、ではなく、若手で最も売れています』
『でしょ?』

 自分で言っちゃうのもすごいけど、姉御ももうそれにツッコんだりはしない。もはや公然の事実だった。

『歌の方も売れてるみたいだし、何曲か作詞作曲もしてるんでしょ? なら、ぶっちゃけかなりもらってるっしょ?』
『大体、○(ピー)万円くらいですね』
『だから具体的な数字は言うなっての!』

 流石に不味かったのかこの番組にしては珍しく編集音(ピー)が入る。しかし、それが余計に生々しかったりで。一体いくらくらいもらってるんだろう……。というか、絶対アルバイトする必要ないくらいもらってるよね。

『別にお金が欲しくてアルバイトしているわけではありませんので』
『何その意識高いセリフ……。まさか「アルバイトを通じて社会貢献をしたいと思ったので」みたいな、よく履歴書の志望動機欄に書いてある嘘くさいこと言わないよね?』
『何ですかそれは……?』

 意味不明とばかりに漏らす咏ノ原さん。まさしく私も履歴書にそう書いていたので胸が痛い。

『私がコンビニでアルバイトを始めたのは、役作りの為です』
『役作り? それもそれで意識高いけど、清恵らしいっちゃ清恵らしいか……。何、来期のアニメとか?』
『そうです』
『ふーん。あれか、コンビニでアルバイトしてる女子高生キャラ的な?』
『はい。コンビニでアルバイトをしている売れっ子新人声優女子高生という設定です』
『ピンポイント過ぎんだろ!?』

 コンビニでアルバイトするだけで完全に状況再現出来るのなら、そりゃあアルバイトしてもおかしくは……いや、おかしいけど。

『なるほどねぇ……。設定がものすごいドンピシャなのも含めると、確かに衝撃的かもなぁ……』
『これが四番目です』
『……ちなみに三番目に秘密なことはなんなの?』
『三番目ですか?』
『そう、三番目』
『三番目は……』
『三番目は……?』

 僅かに溜を作るような話し方に思わず息をのむ。さっきのが四番目だとしたら、三番目は一体……。

『……三番目は何なの?』
『三番目は……アルバイトしていることを事務所に話していないということですね』
『だろうね。さっきからブースの外が大騒ぎになってるもん……』

 姉御の言う通り、咏ノ原さんがアルバイトをしていると発言してからというもの、ブース外の喧噪がマイクに入り続けていた。
 ……マネージャーさん、社長さん、ついでに姉御。ご苦労様です。


・告知


 私の大好きな時間もいつまでもは続かない。

『さて、そろそろ時間かな?』
『そうですね。大体一時間半くらいは録っていると思うので、カットされる部分を考慮しても、もう十分かと』
『ね。じゃあ、終わらせるよ? [わたしと! あなたの? 声春ラジオ!?]、ここまでのお相手は、』
『あ、ちょっと待ってください』
『ん? どうした?』
『告知、しなくていいんです?』
『告知? 何かあったっけ?』
『あれですよ、あれ』
『あれ……? あー! はいはい。あれね? あたしと清恵が共演する奴ね』
『……? そっちの話ですか?』
『え? そっちってどっちよ?』
『そっちはそっちです。あっちでもこっちでもありません』
『はぁ? ……ちょっと訳わかんなくなってきたから、先こっち告知していい?』
『どうぞ。私は構いません』

 淡々と咏ノ原さんが譲る。何だろう、そんなにいっぱい告知があるのかな? リスナーとしては嬉しいけれど。

『えーとね、多分、放送日的に今日発表されてると思うんだけど、[虚(ウツ)ロ、陽(ヒ)ノ下(モト)ニ咲(サ)ク]って映画に、あたしと清恵が、咲(さく)来(らい)百(もも)花(か)役と浮(うき)雲(ぐも)の方(かた)役として出演します』
『当然ですが、アニメーション作品です』
『そ。で、まぁ、原作ものじゃなくて、オリジナルなんだけど……清恵、もう脚本読んだ?』
『既に暗記しています』
『相変わらず鬼のように早いな……』

 あー、そういえばそうだ。咏ノ原さんは渡された台本を速攻で暗記する人だった。それも自分以外の役も全て。いつ代役が回ってきても完璧にこなせるようにという虎視眈々過ぎる理由で。

『……で、どうだった?』
『悪い脚本ではないと思いますよ』
『悪い脚本ではないって……あんた、口には気をつけなって。今からキャスト変更とか、まだ全然ありえるからね。まだ何にも録ってないし』
『そうなると、私のバーターである己己己さんも降板ですね』
『誰がバーターだ、コラ』

 二人とも人気だからバーターってことは流石に……。

『まぁ、情報はこれからどんどん公式の方で出てくると思うんで、というか、正直あたしもどこまで言っていいのか全然わかってないんで、そっちのね、チェックの方よろしくお願いします』
『よろしくお願い致します』
『さて、こっちの告知は終わったわけだけど、清恵。そっちの告知ってのは? もしかして、またCD出すとかそういう奴?』
『いえ。この番組の話です』
『この番組の……?』
『忘れてしまったんです? 来週の話ですよ?』
『来週? あれ? 何かあったっけ? ……マジでわからん。何があるの?』
『ないです』
『は?』
『ありません。ないです』
『……どういうこと? 何かあるんじゃないの?』
『ですから、あるんじゃなくて、ないんです』
『ないの?』
『ないです』
『だったら、告知する必要なくない?』
『はい? 何言ってるんです? ないということを伝えておかないと、困惑する方が出てくるかもしれないじゃないですか』
『はぁ?』

 あるないあるないあるない。二人のまったく噛み合うことのない会話。咏ノ原さんの気遣いは嬉しいけれど、既に私は完全に困惑していた。ないの? あるの? というか何が!?

『……何があるのほんとに』
『ないです』
『じゃなくて。あー、もう。えーと……じゃあさ、何がないの?』
『この番組がです』
『この番組が……?』
『はい』
『……あー! もしかして、来週休みって話?』
『はい。局の設備点検があるそうなので』
『そうだったそうだった! すっかり忘れてたわ』

 えー……。来週休みなんだ。ちょっとショック。一体私は何を楽しみに日常を過ごせばいいというのか。

『ってことは、来週の収録もないの?』
『ないです』
『やった! じゃあ、その日丸々オフじゃん!』

 灰色な日々を思い浮かべ憂鬱になる私とは違い、姉御は嬉しそうに声を弾ませる。そんなに毎日忙しいのかな……? ファンとしては姉御の声を聞きたい反面、身体を大事にして欲しいので、複雑な気持ちなる。

『……清恵は? 学校だけ?』
『放課後にボイストレーニングとダンス教室がありますが、そのあとはオフですね』
『なに、あんた今度はダンス教室なんて始めたの?』
『はい。ライブの質をよりよいものにする為に、ダンスは看過することの出来ない要素ですので』
『はー。ほんと、あんたは努力家というか貪欲というか……』

 私も姉御と同じように呆れてしまう。というか、学校があってボイストレーニングがあってダンス教室まであるのに、オフっていうのは頭がおかしいのでは? つまり、普段はもっと忙しいってこと……? 咏ノ原さんも無理し過ぎないで欲しいなぁ。

『まぁ、いいや。それ、何時くらいに終わるのさ?』
『八時……くらいです』
『八時か……。じゃあさ、そのあと家来る?』
『己己己さんの家ですか……?』
『そ。車出すからさ』
『……私、次の日学校ですよ?』
『いやいや、何で泊まる前提なんだよ?』
『だって、いつもそうじゃないですか』
『ま、まぁ、そりゃあそうだけど……。でも、いいじゃん。朝、車出すよ?』
『……ですが、己己己さん、なかなか寝かせてくれないじゃないですか』
『はぁ!? ちょ、やめろよ! そ、その言い方だと、何かいかがわしく聞こえるだろ!』
『……? 未成年に遅くまで酌をさせることは、充分いかがわしいのでは?』

 そういえば何かの雑誌に書いてあったような気がする。姉御は絡み酒タイプだって。そりゃあ咏ノ原さんからしてみればいい迷惑だろう。次の日学校だし。おまけに自分は未成年だから飲めないし。

『とりあえず、予定はこの収録を終わらせてから考えればよいのでは?』
『……そうすっか。これからみんなでご飯行くことになってるしね』
『では、終わらせましょう』

 淡々とした咏ノ原さんの声の向こう。微かな音量でエンディング用の曲が流れ始める。姉御と咏ノ原さんが歌う曲で、エンディングに相応しいしっとりとした歌声が、侘しさや寂しさを感じさせた。
 あー、もう終わりかぁ……。

『番組では皆さんからのメールを募集しております』
『次は再来週だから、みんな覚えといてね? ここまでのお相手は己己己己己己己と』
『重大発表がありますので、皆さんお聞き逃しのないようにお願い致します。咏ノ原清恵でした』
『え、ちょっ? 重大発表……?』
『あれ? 己己己さん、知らないんです?』
『うん』
『おかしいですね。確かマネージャーの青木さんから話があったはずですが』
『ほんと? ……まぁ、いっか。あとで、ね』
『そうですね。再来週になれば己己己さんもわかると思うので』
『このあと教えてくんないの!?』
『このあとは来週の予定を決めるのでは?』
『い、いや、それはそうだけどさ。でも、別にそのときに教えてくれれば、』
『そんなことよりも、まだ最後の一言言ってないですよ?』
『そんなこと……? あんた、さっき重大発表って言ってなかった?』
『私、このあと、ダンス教室の入会手続きがあるので早くしてもらっていいです?』
『今日からかよ!?』

 BGMにそぐわないドタバタ劇。二人の会話を聞いていると、寂しい気持ちなんてどっかに行って、私は一人、ヘッドホンをつけたままクスクスと笑っていた。

『……ったく。ここまでのお相手は己己己己己己己と』
『咏ノ原清恵でした』
『再来週もあなたに声をお届けします』『再来週もあなたに声をお届けします』

 これまでの喧噪は何だったのか。二人の声がぴったりと重なる。
「……やっぱり、決めるところはちゃんと決めるんだよねぇ」
 声春ラジオ定番の挨拶を耳にし、椅子に座ったまま大きく両腕を上げ背筋を伸ばすと、固くなっていた腰がほぐれ、なんとも言えない気持ちよさがあった。
 重大発表って何なんだろう? アニメの話かな? CDとか? それとも声春ラジオのイベント?
 色々想像するだけでワクワクするけど、多分私が考えていることは全部外れだ。だって、私が大好きなラジオはいつも私の予想を超えてくれるから。
「……うん。再来週まで頑張んなきゃ!」
 再来週の今へと思いを馳せながら。
 私は大好きな時間にもらった元気を握りしめ、日常へと戻るのだった。


――――――――――――――――――――――――――



四巻へ続きます。 

お久しぶりです。
十千しゃなおです。
今日はちょっといつもと趣向が違うので、Twitterでの口調で行きます。

さぁ、始まりました第一回十千しゃなおWalkman大賞。この賞は自分の作品に女の子のキャラばかりだす十千さんが、その年Walkmanに入れたガールズバンドの曲から大賞を決めるもので、審査の方は十千さんの独断と偏見で決まります。
選考条件は、

①ガールズバンドの曲であること(メンバー数は三人以上であり、メンバー全員が女の子であること。かつ、楽器を演奏していること)。※女性ボーカルの普通のバンドはダメ。miwaのようなソロシンガーもダメ。デュエットもダメ。Perfumeのように楽器を演奏していないのもダメ。
②今年十千さんがWalkmanに入れた曲であること(CDの発売年度は関係ない)。ちなみに十千さんはアルバムしか買いません。

です。 

では早速。
第一回十千しゃなおWalkman大賞ノミネート作品の発表です。

【ねごと】[黄昏のラプソディ] ※5:00~


 今やお洒落ガールズバンドの代表格と言っても過言ではない【ねごと】。彼女たちの3枚目のフルアルバム[VISION]よりノミネート。彼女たちのおしゃんな感じがこれでもかと詰め込まれているおしゃんソング。


【ねごと】[ドリーミードライバー] 

同じく彼女たち3枚目のフルアルバム[VISION]よりノミネート。残念ながら違法性のない動画を発見出来なかったので、少ない語彙で表現させて頂きますが、「もし人生のEDソングを決めるとしたらどうする?」という問いの答えです。十千さんの中では。


【SCANDAL】[本を読む]

来年、結成10周年を迎える【SCANDAL】。アニメや映画のタイアップなどで、昨今のガールズバンドの中では一番知名度がありそうな彼女たちの6枚目のオリジナルアルバム[HALLO WORLD]より。こちらもいい感じの動画は見当たらなかったので言葉で。この曲は「普段本を読まない女の子が、読書好きな彼氏の影響で本を読むようになっていく」といった感じの曲なのですが(厳密にはちょっと違う)、気怠げな声で歌われる素敵な読書体験がもうすごいんですよ。あ、そういう本の楽しみ方もいいなって思わされますし、一体どんな本を読んでいるんだろう?って気にもなります。


【SCANDAL】[Departure]


同じくアルバム[HALLO WORLD]より。彼女たちの楽曲には桜が出てくるものが多いのですが、その中でもベストかなって感じです。格好いい。


【SHISHAMO】[行きたくない]



一番知名度があるガールズバンドが【SCANDAL】だとするならば、今一番勢いのあるガールズバンドは【SHISHAMO】なのかなと思う今日この頃。そんな彼女たちの1stアルバム[SHISHAMO]から [行きたくない]。聞いてわかるように、学校に行きたくない学生の気持ちが歌われているのですが、これ、というかこのバンドの曲って共感出来る学生すごい多いと思うんですよね。リアル……っていう言い方もちょっと変かも知れませんが、曲で歌われている感覚がわかるからより深く伝わるっていうか。十千さんはとっくのとうに学生ではありませんが、多分高校生のときとかに出会っていたら相当好きになっていた気がします。もし女子高生だったら、机に歌詞とか書いちゃったりしちゃったりだったかも。


【Silent Siren】[女子校戦争]


 
自分達の武器がルックスであることを良く理解し、ちゃんと武器として扱っている硬派なガールズバンド【Silent Siren】のアルバム[サイレントサイレン]より[女子校戦争]。彼女たちの楽曲は明るくて可愛い、自分達の武器を活かしていくスタイルのものが多いのですが、この曲はちょっと色が違う感じで格好いいです。この動画の1:55辺りから何をやっているのか十千さんにはちょっとわからないので、誰かわかる方いたらお願いします。


この5曲の中から第一回十千しゃなおWalkman大賞が選ばれるのですが、その前に最優秀アルバム賞と最優秀新人賞の発表です。

第一回十千しゃなおWalkman大賞最優秀アルバム賞は……






【SCANDAL】[HALLO WORLD]
HELLO WORLD
SCANDAL
ERJ
2014-12-03


収録曲自体の素晴らしさももちろん、アルバム自体の構成も良く出来ており、審査員満場一致での受賞となりました。これまでのアルバムは作曲家や作詞家が関わっている曲が多かったのですが、このアルバムはメンバーが作詞作曲したものが多く、それでもこれまで出してきたアルバムに劣らないどころか新たな良い部分が出て来ていて、本当にびっくりしました。おかしな話だけど、よりバンドっぽくなったって感じです。
【SCANDAL】のみなさん、おめでとうございます。



続きまして、第一回十千しゃなおWalkman大賞最優秀新人賞は……






【Rick Rack】
今を生きぬく乙女たち
Rick Rack
SPACE SHOWER MUSIC
2015-05-13

関西で活躍中の平均年齢17歳のガールズバンド。大学受験を控えているメンバーがいる為、現在は活動休止中です。十千さんが惹かれたのはボーカルの声ですね。十千さんは元々高い声より低い声の方が好きなのですが、低い声のガールズバンドって、ぶっちゃけクドい感じのが多いんです。無理して作ってる感じの。でも【Rick Rack】のボーカルはそこまでクドさを感じることなく「お、いい声してんじゃん」て素直に思うことが出来ました。
現状の素晴らしさよりも将来性を評価しての受賞って感じですかね。あの、何でしょう。何がどうすればそうなるのかはわかりませんが、一歩間違えたら突き抜けてブレイクする可能性があるバンドかなって思っています。あれです、KDPでいう十千しゃなおさんみたいな感じですね。




さて、いよいよ第一回十千しゃなおWalkman大賞の発表です。







第一回十千しゃなおWalkman大賞は……










【ねごと】[黄昏のラプソディ]

 


だってもう超おしゃんなんですもん。しょうがないじゃないですか~。やっぱりおしゃんには勝てないですね。【ねごと】のみなさん、おめでとうございます。






さて、いかがでしたでしょうか? 第一回十千しゃなおWalkman大賞。

え? そんなことやってないで新刊はどうした?です?

しょ、しょうがないじゃないですか。表紙が来ないんですもん……

ワンチャンまとめ版は年内間に合わないまであります。


以上、あなたの心の当選者、十千しゃなおでした☆


 

お久しぶりです。
十千しゃなおです。

最近までブログにて『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?2』の連載?再掲載?を行っていたのですが、現在停止中になっています。理由はいよいよ新刊が出そうなので。上手く新刊へ繋げられるように、連載?再掲載を調整中です。
表紙が出来次第出せそうなので、早くて25日でしょうか。クリスマスですね。Kindleにはそのくらいで出せそうですが、他のストアに関してはもしかしたら遅くなっちゃうかもしれません。ファイル作るのが面倒くさくて……。 
次ブログ書くときにはちゃんと告知したいですね。

続いて。
晴海さんのブログだったでしょうか。自作の好きなキャラベスト5みたいなのが書いてあって「へー、面白そう」と思ったのですが、自分もやってみようかなって考えたものの、まぁ無理でした。好きなキャラがいないというわけではなく、ベスト5が決められませんでした。「自分の作ったキャラに優劣なんてつけられないよー><」という可愛らしい理由でもなく。
昔から好きなものとか嫌いなものに順位をつけるのが苦手なんです。苦手というか出来ないというか。みんな1位になっちゃうっていうか。好き=好感度MAXだからみんな同じだよね?って感じなのでしょうか。


 


 ある日の声春ラジオは緊張を感じさせる姉御の声で始まった。

『……えー、今週も始まったね。声春ラジオ。パーソナリティの己己己己己己己です……』
『同じくパーソナリティの咏ノ原清恵です。どうしたんです、己己己さん? 何やら緊張してらっしゃるようですが』

 咏ノ原さんの言うように、姉御の声はいつもより固く感じられた。慎重に言葉を選んでいるというかなんというか……とにかく、このラジオには似つかない雰囲気だった。

『いや、だってさ……えー、まぁ、とりあえずリスナーの人わかんないと思うから説明するけど、今日ね、ちょっといつもと違うところがあるんだよね。ちょっとっていうか、かなりなんだけど』
『そうですね。ブースの外の景色はいつもと違って見えます』
『ブースの外は、いつもプロデューサーさんとかミキサーさんとか、そういう番組スタッフがいるのね。あとはうちのマネージャーの青木とか。……なんだけど、今日は何故かいつもいない人がいて……』
『いらっしゃいますね』
『そう。まぁ、あの、事務所の社長なんだけども……』
『珍しいですよね。この番組の収録中に会うのは初めてかもしれません』

 へー、社長いるんだ、今日。通りで姉御は固くなっているわけだ。ちょくちょくこのラジオでも社長の名前が出たことはあるが、その度に姉御は萎縮していた。……もしかしたら、姉御たちの事務所の社長は怖い人なのかな……? 対照的に、咏ノ原さんはいつも通り淡々としてるけど。

『というわけで、ね。あたしは今、すっごい緊張してます。何でなの? マジで。今日、もしかして何かあんの?』
『もしかしたら、見に来たのかもしれませんね』
『え? 何を?』
『己己己さんがちゃんとまじめにやっているのかどうかです』
『あたしなの!? あんたじゃなくて!?』
『私は大丈夫です』
『何が!? どういうこと!? ちょっ、ねぇ!?』

 咏ノ原さんの振りに姉御は動揺を隠せない。どうやら相当社長に怯えているようだ。

『冗談は置いておくとして、社長さんはたまたま近くで用があったので、ついでに寄ってみたと言っていましたよ』
『マジで? ……あー、よかった。いや、別にやましいことなんか全然ないんだけど。ほんと、全然』

 と強がりながらも、姉御が安堵のため息を漏らすのを収録用マイクは逃さない。こんなにもビビる姉御を見るのは初めてかも。姉御には申し訳ないけど、少しだけ得をしたような気分になる。

『……それにしてもさ、清恵さ、緊張しないわけ? 社長いて』
『特にしませんね。社長さんには可愛くしていただいているので』
『あー、まぁ、確かに。何か仲いいよね、あんた。……でも、あんまりそういう、可愛がってもらってるとか言わない方がいいかもね』
『……? 何でですか?』
『いや、だってさ……いるんだよ、ほら。下衆な勘ぐりする奴が』
『下衆な……?』

 皆目見当もつかないかのように、唇からクエッションマークを漏らす。きっと咏ノ原さんは不思議そうに小首をかしげているに違いない。

『そう。なんつーの? いわゆる……枕営業ってやつ? 愛人枠とかさ。そういうこと言ってくる心ない奴もいるわけ』
『愛人……? 誰が愛人なんです?』
『いや、あんたが』
『誰のです?』
『社長の』
『……? そんなことありえませんね』

 淡々と。怒るでも悲しむでもなく、何の感情も見せずに切り捨てる。

『うん。その通り。ありえないよ? 実際は全然何にもない。全くない。けど、それでも言ってくる奴はいるわけ。愉快犯ていうのかねぇ』
『理解しかねますね。確かに、社長さんは素敵な方だとは思いますが』
『ね。ダンディでね。ナイスミドルって感じ? でも、それとこれとは別だよね』
『はい。それに、カブト虫みたいな顔の男性はあまり好みではないので』
『おいぃ!? カブト虫って、あんたさぁ……』
『こう、鼻が長くて、こう、』
『いや、説明を求めてるわけじゃなくて! いくら仲いいからって、言っていいことと悪いことってあるだろ』
『悪くなくないです? カブト虫。かっこいいじゃないですか。昆虫の王ですよ? ちなみに私はクワガタ派ですが』
『はぁ……? ま、確かにカブト虫自体はかっこいいかもしれないけどさ……。けど、だからって自分の顔をカブト虫に例えられるのは嫌でしょ』
『そうですか? でも、綺麗な女性のことを蝶に例えたりしません?』
『いや、それはそうだけど……でも、あれは顔を蝶に例えてるわけではないでしょ』
『……確かにそうかもしれません』

 咏ノ原さんが素直に反論を受け入れるだなんて、珍しいこともあるもんだ。いつも淡々と自分の正当性を主張する人なのに。

『でしょ? だから、流石に社長も怒るよ? いくら仲いいからって、カブト虫みたいな顔って言われたらさ』
『大丈夫です』
『だから何が!?』
『もし社長さんが怒ったとしても、怒られるのは多分己己己さんなので私は大丈夫です』
『わかってんならやめてくれない!?』

 声を荒げながら懇願する。姉御の気苦労は絶えなかった。

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