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『SSクラ部へようこそ』㉛

ネズミ③

「さて、いよいよ次は真打ちだ」
「ということは、僕たち前座だったんですね」
「最低ですし」
 ハルナさんは頭を下げて事情を説明したが、まだリンさんは納得のいっていないようで、プンスカプンスカしながら毒づいていた。
「やめましょうよ。こんなの馬鹿みたいですし」
「まぁ、そう言うな。今に面白いものが見られる」
「面白いもの?」
 ハルナさんが白い歯を見せ、リンさんが首を傾げる。
「アキラ。お前はレミィが秋田の方言でしゃべっているのを見たことがあるか?」
「……ないですね」
 言われてみれば。少なくとも僕と出会ってからのレミィはいつもカタコトだった。
「わたしの調べによるとだな、レミィは高校に入るまでずっと秋田に住んでいたのだという」
「僕もそう聞いています」
「つまり、ついこの間まで方言が当たり前の環境にいたわけだ。少なくともカタコトよりはなじみ深い」
 言っている意味はわかる。秋田にいた頃からカタコトだったという可能性もなくはないけど。
「上京してきた田舎者が咄嗟に方言を出すのはよくあること。もしや、秋田の方言が聞けるやもしれぬぞ?」
 くつくつと喉を鳴らすハルナさんは期待感をまったく押し殺せていなかった。ダダ漏れだ。
「秋田の方言とはどのようなものなのだろうな」
「さぁ? 僕にはわかりかねます。関西や九州など、西の方は何となく想像がつくのですが」
「とてつもなく可愛らしい可能性もなきにしもあらず」
「方言萌えというやつでしょうか」
 それともギャップ萌えと言えばいいのか。金髪(月一で染めてる)碧眼(カラコン)色白(これは本物)のレミィが田舎丸出しの言葉で話せば、それはそれで面白い。
「どうだ? リン。聞いてみたくはないか? レミィの方言を」
「う……仕方ないですね」
 困った先輩ですねと渋々感を装うけど、リンさんの表情にはレミィの方言を聞いてみたいという欲求が漏れ出てしまっていた。
 まぁ、僕も友人の違う一面を見てみたいですけど。
 こうして実験続行が決まった。
「おはヨー!」
 レミィが元気な挨拶とともに部室に入ってきたので、
「キャッ!」
 またも僕が悲鳴を上げる。手順は先ほどリンさんに行ったのと何も変わらない。
「アキ、どうしたヨー? ガールスカウトみたいな悲鳴ネー」
「ガールスカウトみたいな……?」
 一体どんな悲鳴……?
 聞いたこともない例えに素に戻りそうになるが、何とか我慢。
「レミィ、そっち危ない!」
「ヘ?」
 リンさんのときと同じようにネズミの方を指差し、ハルナさんがネズミを走らせる。
 さっきとまったく同じ手順。
 すると。
 レミィもさっきのリンさんと同じように、ウンともスンとも言わずに固まってしまった。
 ……まさか、レミィも?
 もしかしたらリンさんと同じように倒れてしまうのではないかと、三人で駆け寄る。
 レミィはやはりリンさんと同じように、何かをつぶやいていた。
「……Jesus」
「む? ジーザスだと?」
 じーざす。すなわちイエス。
 やたら発音よく神の名をつぶやき、レミィの身体が小刻みに震えた。
 と、思った次の瞬間。
「God damn it!」
 がっでみっと。
 やたらと発音よく悪態をつき、レミィは力強くネズミごと右足を踏み抜く。哀れ、五万円のネズミはレミィの足下で四散した。
「あー!?」
「Hey mouse.This is damnation.Can you dig it,Sucka!?」
 へいまうす。でぃすいずだみねいしょん。きゃんゆーでぃじっと、さかー。
 無惨な姿のネズミに悲鳴を上げるハルナさんをよそに。日本語にして、わかったかこのタコ野郎と叫ぶと、
「……なんちゃってヨー」
 レミィは冗談冗談とペロッと舌を出し笑った。
 えと……何がなんちゃって?。
「……レミィ先輩って本当は何人なんですかね」
「……確かなことは、怒らせない方がいいということでしょう」
 この日からしばらくの間、レミィは本当に日本人なのかという疑念が湧き、何故かハルナさんだけは、時折恨みの籠もった目を向けていた。
 いや、自業自得ですよ?