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Choose Me!

「で、だ。大事な話を聞くぞ? アキラ」
「何でしょうか?」
 一つのソファーに集まり、みんなで楽しくデートの思い出を語っていると、不意にハルナさんの表情が真剣なものに変わった。何だろう。
「誰とのデートが一番楽しかった?」
「誰との……?」
 回答に困る。みんなとの休日はどれも楽しくて、そんなこと考えたこともなかった。
「優劣をつける必要はあるのでしょうか?」
「劣をつけるわけではない。優が知りたいというだけだ」
「しかし、思い出を比べるような真似はナンセンスだと思いますよ」
「その通りネー。思い出はメモリー。美しいビューティフルヨー」
「自分もアキラ先輩と同意見です」
 僕の言葉にレミィもリンさんも頷いてくれる。思い出に順位をつけても得はない。
 二人が味方についてくれれば、ハルナさんも納得してくれるだろう。
 と、思ったのだけど、
「……でも、それとこれとは別の問題ネー!」
「頭で理解は出来ても、気になることには変わりないですし!」
 まさか二人がハルナさん側につくとは……。どうしてレミィとリンさんが乗り気なのかわからない。でも、これでハルナさんが調子づくのは間違いないだろう。
「さぁ、アキラ。誰がよかったか答えよ。当然、わたしとの大人なデートだろう?」
「違いますよね、アキラ先輩? 自分との動物園デートですよね?」
「ノンノン。レミィとのはんなりのんびりデートに決まてるヨー」
 みんな僕の方にずいっと顔を寄せて尋ねる。
 ハルナさんもリンさんもレミィも自信たっぷりといった表情。
 みんなとのデートはどれも楽しかったので、みんな自信があるのは当然なのかもしれない。
 ハルナさんとのデートは、振り回されっぱなしで疲れるものだったけど、その分、退屈する時間は一切なかった。
 リンさんとのデートは、二人だけで遊ぶことが初めてのことだったので、僕たちの距離を縮めるには有意義な時間だった。
 レミィとのデートは、普段二人で遊ぶときと何も変わらなかったが、気を遣う必要がなくて一番リラックスすることが出来た。
「そうですね……」
 みんなの目が真剣すぎるので、僕も薄く唇を噛んで真剣に考える。誰が一番かは決められないから、一番に選ばれなかったら誰がどんなリアクションをするのかを。
 ハルナさんは……ものすごい怒られて、ものすごいふてくされて、ものすごい面倒くさそう。
 リンさんは……気にしないと言いながら、涙目になってしまいそうでちょっと後味が悪い。
 レミィは……そんなに気にしなそう。でも、選ぶのは一人だから、選ばれない人が二人いるわけで。
「わたしだよな?」
「自分ですし!」
「レミィが一番ネー」
 よくわからないけど、三人とも目が本気だ。どうしよう。誰が一番だなんて、やっぱり僕には決められない。
 ……こうなったら、話をそらさなくては。
「……そ、そういえば、まだプリクラの確認をしていないですね」
「む? ……確かに、言われてみれば」
「いいんですか? 確認しなくて。証拠に撮ってこいと言ったのはハルナさんですよ?」
「む……うむ。そうするか。皆、ちゃんと持ってきているだろうな?」
 多少強引に話題を変えた自覚はあったけど、ハルナさんの言葉にみんな頷いてくれる。
 三人が鞄を取りに行く間にホッと一息。どうやら上手くいきそうだ。
 まぁ、僕は三人全員とプリクラを撮っているので、確認しなくてもわかっているけれども。
「では、わたしから」
 ハルナさんが鞄から切り分ける前のプリクラを取りだし、テーブルに置く。
「わー! ハルナ先輩とアキラ先輩、何か、仲のいい[きょうだい]って感じで素敵です」
「やはりリンもそう見えるか! そうかそうか!」
 プリクラには腕を組むハルナさんと、高さを合わせる為に中腰になる僕が写っていた。それを見たリンさんのリアクションで、ハルナさんは上機嫌になる。
 ……うん。多分ハルナさんは気づいていない。リンさんが言いたいのは姉弟ではなく兄妹だということに。僕の目から見てもこのプリクラは、わがままな妹につきあう兄といった風に見える。いや、僕は女の子ですけど。
「じ、自分はこんな感じです……」
 今度は、恥ずかしがりながらリンさんがプリクラをテーブルに出す。
「Oh! 可愛いネー!」
 レミィが、僕にお姫様だっこをされて恥ずかしがるリンさんの写ったプリクラを見つめ、満面の笑みを浮かべた。反対に、どうしてなのか、ハルナさんは不機嫌そうに眉をひそめる。
「な、何故お姫様だっこなんてしているのだ!?」
「こ、これはアキラ先輩のアイデアで」
「リンさんと僕は身長差がありますからね。この方が収まりがいいと思ったので」
 顔を真っ赤に染めるリンさんの代わりに答えると、ハルナさんはあからさまに頬を膨らませた。
「ハルナさん。何かご不満でも?」
「身長差があると言うのなら、何故わたしのときはやらなかった? わたしはリンより小さいんだぞ?」
「ですが……ハルナさん、ジタバタ暴れそうじゃないですか」
「暴れるに決まっておろう! それも釣り上げられた魚の如く」
「だからですよ」
 腕の中で暴れられたら落としてしまわない自信はないし、落とされたらハルナさんは烈火の如く怒るに決まっている。その点、リンさんは大人しく、以前、リンさんがこの部室に拉致されてきたときにもお姫様だっこをしているので。リンさんは眠っていたので覚えていないとは思うけど。
 でも、どうしてハルナさんは怒っているのだろう? もしかしてお姫様だっこされたかったのかな。いや、まさか。子供扱いするなって怒られるに決まっている。うーん……ハルナさんは難しい。
「レミィのも見るヨー!」
 見て見てー、とレミィがプリクラを出す。自然体な笑顔でピースをする僕とレミィが写っていた。
「アキラ先輩とレミィ先輩は本当に仲良しですね。よく二人でプリクラ撮るんですか?」
「もっちろん。撮るときの立ち位置もちゃんと決まてるネー!」
 僕とレミィの場合はボディタッチをそれなりにするので、お互いの利き腕が相手に近くなるように、僕が左、レミィが右。これがいつのまにか定位置になっていた。
「……それで? アキラは?」
「え?」
 突然、ハルナさんに話を振られ、反射的に疑問符が飛び出る。僕?
「え?ではなく。プリクラを撮ってきてはおらぬのか?」
「いや、僕、三枚も写ってると思うのですが」
「何を言っておる。忘れたのか?」
 忘れた? いったい何を……?
「わたしは、女子高生らしくデートをしてくること、と言ったはずだぞ? この格好のどこが女子高生らしい?」
 ハルナさんが顎でテーブルの上のプリクラをさす。唯一、プリクラ皆勤賞な僕だけど、その格好は男物のパンツに男物のアウター。女子高生らしいと言うのは、ちょっと苦しいかもしれない。いや、僕はれっきとした女子高生ですけど。
「……僕を男役に任命したのはみんなでは?」
「む?」
 一瞬、何かを思い出すような素振りを見せ、ハルナさんはつまらなそうに鼻を鳴らした。
「……確かにそうだ。しかし、アキラだけがわたしの課題を守れなかったのも事実。違うか?」
「……つまり、何を仰りたいんですか?」
 いまいち釈然としない。確か、罰ゲームは何も決めていなかったはず。
「特別にお前だけ課題の期限を延ばしてやると言っておるのだ」
「期限を……?」
「ああ。わたしが男役を務めてやるから、来週までにデートをして、証拠にプリクラを撮る」
「はぁ……」
 よくわからないので生返事になってしまう。
 ……つまり、ハルナさんは本気で僕だけ女子高生らしいデートをしていないことが不満なのだろうか? うーん……うーん。
 まぁ、今週末の予定が今から決まったと考えればそれでいいかな。予定は何もなかったし。
 なんて、その程度の気持ちでいると、
「あー! ずるいネー! レミィも男役のやりたいヨー!」
「そうです! 自分も一度くらいやってみたいですし」
「え……?」
 思わぬ加勢が出てきて、またも勝手に疑問符が飛び出る。
 レミィもリンさんもそんなに男装したいのだろうか。だったら僕と普段の役割を代わってくれても……。
「……しからば仕方ない。アキラ、三人の中からお前が選べ」
「……僕が?」
 また僕に選ばせる……。やけに真剣なみんなの目を見ていると、何だかとても嫌な予感が。
「当然、わたしだよな?」
「ベストフレンドのレミィに首ったけヨー!」
「自分ですよね? アキラ先輩」
 みんな瞬き一つせず、僕に顔を近づける。
 あ、れ?
 おかしいな。誰を選んでも角が立ちそうだから話題を変えたつもりだったんだけどな……。

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これにてひとまず『SSクラ部へようこそ』は終わりです。長い間おつきあいいただき本当にありがとうございました。
終わり、と言っても1巻分が終わったというだけで、これからもちょくちょく書いていくつもりです。連載出来るように作った作品ですからね。

次にこのブログでひと月くらい連載する作品は
『わたしと!あなたの?声春ラジオ!?~歌う怪盗MAXコーヒー~(仮)』
になります。
久しぶりのラジオシリーズ!
これはまだ最後まで書き終わっていないので、若干やばいと感じているものの、まぁ、その場しのぎで書いていくのも連載っぽくていいかな、なんて思ったり思わなかったりで。
己己己己己己己と咏ノ原清恵のグダグダラジオをお楽しみくださいませ~。

ちなみにこちらは週2連載になります。曜日に関しては決まり次第お知らせいたします。

今回は『SSクラ部へようこそ』にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。 
SSクラ部へようこそ
十千しゃなお
2014-03-22

 ↑誤字があるので、すみません、少々お待ちくださいませ。