皆さんこんばんは。
十千しゃなおです。
今年も栄えある第一回十千しゃなお大賞のお時間がやってまいりました。例年通りガールズバンド部門を中心に置きつつ、今年は様々な部門賞を用意してみました。初見さんのために説明させていただくと、十千しゃなお大賞とは、十千しゃなおさんが今年触れたものの中でよかったと思うものをあげる権威ある賞です(今年発売したもの限定ではない)。




・グルメ漫画部門
今年から新たに創設された部門で、普段こういったご飯を食べるだけの漫画を買わない十千さんがついつい買ってしまった漫画たちが顔を揃えました。記念すべき第一回の受賞作品は三つ。関係者の皆さん、おめでとうございます。






空挺ドラゴンズ(この間、三巻出ましたよー)
龍を捕まえて、その肉や皮はもちろん、体内から抽出される脂を売ることで生計を立てる龍捕り(おろちとり)たちの日常を描いた漫画です。わかりやすくいうと、マグロ漁船に密着した漫画みたいなものです。新入りの女の子タキタと、普段はだらしないが龍を捕まえて食べることに特別な執着心を持つミカが作品としての主人公なのでしょうが、一話一話ごとに色々な龍捕りにスポットライトがあてられ、個性豊かなキャラクターたちが織りなす群像劇チックな漫画になっています。一番の魅力は登場する龍たちのスケールの大きさでしょうか。でっかいのがいれば小っちゃいのもいますし、ドラゴンドラゴンした龍もいれば魚っぽいのとか鳥っぽいのもいますし。よくもまぁこんなに思いつくなぁって感心しっぱなしです。
単行本には作品内で出てきた料理のレシピが載っているのですが、龍を使った料理が大半を占めるので、忠実に再現することは不可能です。しかし、そこを補完するために想像力を働かせるのも楽しみの一つ。龍の見た目から「爬虫類っぽい感じだから鶏肉かな……」とか想像するのも楽しいですし、「魚っぽい見た目でこの味付け……。脂がのった白身魚とか?」と想像するのも楽しいです。


えびかわ町の妖怪カフェ(この間二巻出てましたねー)
田舎町で客入りの寂しいカフェを営む佐吉さんと、お化けが見えてしまうという体質を母親に気味悪がられ、縁戚である佐吉さんの家に預けられることになってしまった少女まなちゃん。まなちゃんが来てからというもの、その特殊な体質からかお化けたちがカフェにやってくるようになり……。って書くとなんかホラー漫画っぽいですが、実際はそんなことはまったくなく、カフェにやってくるお化けたちは皆さんいい人(?)で、緩やかな田舎町の夏を描いたハートウォーミングな感じの漫画に仕上がっています。とにかく皆さんいい人。
空挺ドラゴンズとは違い、出てくる料理の材料は現実の世界に則したものとなっているので、漫画の通りに作れば忠実に再現することは簡単です。しかし、出てくる料理の中には田舎料理……というか、今ではほとんどつくられていない昔のものもあったりするので、美味しいものをつくろうとするよりは、「へー。あー、なるほどねー」みたいな気持ちで作るのがオススメです。年配の方に作ってあげると喜ばれるのかもしれませんね。


オリオリスープ(つい最近、最終巻となる四巻が発売しました)
本の装丁や、缶詰めのイラストなどといった仕事を手がけるデザイナー事務所[TROPOPAUSE]に勤める原田織ヱ。食べることが大好きな彼女はその中でも特にスープ類を好み……。うーん、この漫画はちょっとどういう漫画なのかってちょっと説明しづらいかもしれません。個人的にこれまで読んだ漫画の中でベスト5に入るくらい好きなのですが。初めてこの漫画を掲載誌で読んだとき、……?、って思ったんですよね。何か違和感があるというか、漫画っぽくないというか。で、単行本を買って、後書きを読んだときに、綿貫芳子先生にとってこの作品が初めての漫画での仕事であり、本職は別だよ~って知り、酷く腑に落ちた覚えがあります。なんというか、とても詩的な作品なんですよね。登場人物たちの機微だけでなく、季節の移り変わりや、日々の些細なことにまで寄り添った作風というか。特に、二巻目を丸々一冊使った木蓮編(十千さんが勝手に呼んでいるだけ)は珠玉の出来で、クライマックスのとあるシーンではすごく自然に涙を流していました。
この漫画の素晴らしいところには、出てくる料理の再現が難しくなく、それでいて美味しいというところもあります。料理をまったくやったことのない人でも作れる茶節みたいな料理もありますしね。最近はめっきり寒くなり、温かいスープが美味しい季節になってきているので、献立に悩んでいる方の参考にもオススメの漫画です。
いや、あの本当にオススメの漫画です。少しでも気になる方はとりあえず二巻まで買ってみてください。えーと、合わせて1500円くらいですかね?ちょっと高い? 絵にちょっと癖があったりするので、絶対に損をさせないとは言いません。ですが、合う人にはとことん合う作品で、値段以上の出会いになる可能性を秘めた漫画だと思っています。いや、ほんとほんとほんと。十千さんは綿貫芳子先生が次にどんな作品を見せてくれるのか楽しみで仕方ありません。




……うーん、グルメ漫画部門だけで結構長くなっちゃいましたね。一回で終わらせようと思っていたのですが、面倒くさく長くなっちゃったのでちょっと分けて書きます。もしかしたら面倒くさくなったのでガールズバンド部門以外紹介がないかもしれませんが、そのときはそのときで。